音楽が大好きな若い施設入居者の方がいます。コンサート当日の朝、施設に最終打ち合わせに出向いた際、たまたまその方に会いました。「おはよう!」と声をかけても浮かない顔で元気がありません。そういえば参加者名簿に名前がなかったなあと思いながら、スタッフと打ち合わせに入りました。
「ところでTさんの名前がなかったのだけど体調でも悪いのですか?」とスタッフに聞きました。「実はご家族から、コンサートにはいかないようにと言われて、元気がないのです」ということでした。理由はコンサートを聴いて興奮して発作を起こしては困るから~ということのようです。「残念ね、音楽が大好きなのにね、Tさんはきっと喜ぶと思っていたんだけどなあ」といいながら私はあきらめていました。
でも、ボランティアセンターに戻って間もなく、施設スタッフから電話があり「Tさんにも参加してもらうことになりました」と連絡が入りました。
コンサート会場の一番前の席、しかも真ん中に陣取り、本当に嬉しそうなTさんがいました。
音楽に手拍子をしながら、声を出して喜んでくれていました。演奏時間は30分間です。つかの間ではありましたが、Tさんだけではなく、みんなにとって心豊かな時間だったと思います。
このことをご家族にお伝えすることができたらいいのですがね。
施設としては、ご家族の意向を尊重しながら対応しなければならないこともあるようで、
現場もたいへんだなあと思った次第です。
みんなの気持ちがあれば、いろいろなことが可能になってきます。そのことが嬉しくて楽しくて、私もこの仕事ができています。
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