2011-01-31

「施設でのボラ」ひと工夫

とちぎボランティアネットワークで発行しているボランティア情報紙にこのところ毎月掲載している記事の最新号のものを紹介します。「施設でのボラひと工夫」というコーナーで、日々の業務の中で、出会ったこと、感じたことを織り交ぜながら、福祉施設でのボランティアコーディネーションのあり方について、私なりに考えることを綴っています。(下記は掲載11回目のもの)

「施設でのボラひと工夫」より

 今や、利用者の方たちが、自分たちのやりたいことを、自ら企画運営する動きを創りだし、その「共同の企て」の参加者としてボランティアを捉える視点が生まれています
そしてあくまで利用者の方たちが主人公になっていけるようにエンパワーメントしていく現場スタッフの方たちがいます。今回はその事例を紹介したいと思います。
 私の仕事場の関連施設であるデイセンターの利用者の皆さんは、比較的若い世代の方々です。「サッカーを思いきり楽しみたい」という声があると、利用者主体で、どのようにすれば楽しめるかというミーティングを開き、企画を自らたてていきます。何をどこまでどのようにと、明確にボランティア要望も出してきます。会場は大学の体育館を使って、チームメンバーにボランティアにも入ってもらってとか、特別ルールを考えたり、ワイワイと楽しみながら会議を進めます。結果、利用者主導のサッカー大会になるわけですから、盛り上がります。
 また以前から公共バスの利用に関して、不自由を感じることがあり、そのつど関係機関に申し入れをしてもなかなか改善されない事柄を社会課題として捉えて、社会的に当事者の思いを訴えていきたいということになりました。その方法として、「公共バスを利用しながら、ショッピングモールまで出かよう」を企画し、ボランティアにも参加してもらい実施しました。いうまでもなく企画運営、当日のボランティアへのオリエンテーションも含め、全部利用者主導で実施されました。
 サッカー大会も、バスツアーも施設行事とすることで、施設が大きく責任を負うことを明確にしたうえで、職員は利用者の方々が主役になれるよう配慮しながらのサポートに徹しました。日々の関係性の中で、利用者の一人ひとりの個性や思いをしっかりと受け止めて、その実現に向けて、それぞれの持てるチカラを引き出すエンパワーメントの見事さにいつも感動します。
「当事者である」人の声は強いです。そしてその声は、ボランティアに対しても「当事者となる」意識をも引き出すだけのチカラをもっています。
 福祉施設は、ひとつの大きな組織でもあるわけで、その中で個々の思いを繋いでいくことが、実はとても難儀なことを秘めていることは察していただけるものと思います。
でも、ほんの少し視点を変え、「やろう」という意識ひとつで、創意工夫で、お互いが生きていることを喜び、分かち合える場としての福祉施設になる可能性は、もっともっと広がっていきます。

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